
スケルトン物件と居抜き物件の工事価格の比較事例 Vol.3
今回は「居抜き物件で金額を安く抑えられた」場合の事例を写真とともにご紹介します。
居抜き物件は、お客様がオープンさせたいお店の業態やイメージ・レイアウトと近い居抜き物件を見つけることができれば、工事にかかる金額を安く抑えることができます。
例えば、
・厨房(厨房機器・厨房区画)がそのまま利用できる物件
・設備(排気・エアコン・トイレなど)がそのまま利用できる物件
・内装の仕上げや壁の位置などが利用できる物件
などです。また、
・一部、必要な設備を追加する
・仕上げを新しくしてあげる
ことで前のお店のイメージから一新し、金額は抑えつつ新しいお店として造ったかのように見せることができます。
事例①:銀座古川(2019年6月 竣工)
JR横須賀線の鎌倉駅から徒歩10分ほどのところにある「銀座古川」。もともとは銀座で古くから続くシチューとカレーの専門店が、鎌倉に移転しました。
場所は鎌倉駅から鶴岡八幡宮にまっすぐ続く若宮大路沿いに立つビルの2階。観光などで鎌倉を訪れたお客様が気軽に立ち寄ることができる好立地です。
最初に、工事前の写真です。
前テナントは飲食店と聞いています。
店内は厨房の区画とそれに伴う間仕切り壁やデシャップカウンターが残っていました。厨房区画と間仕切り壁はこのまま利用し、デシャップカウンターは使いやすく造り直したほうが良さそうです。客席部分は床壁天井が仕上がりとしてそのまま利用できる状態です。
ファサードはビルの2階の共用部分にガラス窓が大きく張り出している状態で、そこから店内が見えるけど見えすぎない感じで覗くことができます。
設備は利用できたのは厨房内の給排水配管とグリーストラップ、ガスの配管の引込です。客席部分は天カセエアコンが利用できました。また電気は電灯と動力ともに分電盤はついているものの、分電盤の改修工事は必要な状態でした。逆に利用できなかったのは厨房排気で、家庭用のレンジフードだったため業務用のステンレスフードの取付工事が必要でした。
次に、工事後の写真です。
店内は床や壁の仕上げはそのままに、腰壁を造作してタイルを貼りました。もともとの白っぽい空間にタイルやベンチシートは暗い色を用いることで落ち着いた空間に仕上げました。デシャップのカウンターも造り直し、収納棚・レジ台・デシャップの機能を満たす、使いやすいカウンターになりました。
厨房機器はもともと銀座のお店で使用していたものを移設して利用しました。
ファサードはガラスの内側の壁に羽目板を貼りそこに店名サイン看板を貼り付けました。この看板も銀座のお店で使用していたものを持ってきて、新しい場所でもう一度利用しました。
事例②:キッチンumasan(2018年10月 竣工)
京王線の八幡山駅から徒歩5分ほどのところにある「キッチンumasan」。ハンバーグや魚のソテーなどが楽しめる洋食屋さんです。
黄色やオレンジ・茶色などの暖色系の色を店内外に使用した、温かみのあるお店です。
最初に、工事前の写真です。
前テナントはイタリアンレストランでした。
店内は業態が非常に近いこともあり、店内レイアウトはそのままに客席、イステーブル、厨房、トイレとすべて利用できる状態でした。
ファサードは可動式のオーニングやモルタルに塗装をした外壁などが利用できる状態で残っていました。
設備は、厨房は給排水やガスなどの配管・厨房機器・厨房排気が利用できる状態で残り、客席は天カセのエアコンが利用できます。トイレも利用できる状態でした。
次に、工事後の写真です。
店内は天井の塗装とカウンター立上りの塗装を塗り直し、もともとの黒板を梁下まで大きく伸ばし、照明器具を交換してあげることでイメージをガラっと一新しました。
ファサードはオーニングの張地と扉をオレンジ色に、その周りの外壁を茶色に変え、こちらもイメージを一新。店内と併せて温かみのある店構えになりました。
また看板も正面と袖看板と丸い看板を2つ新設。周りが住宅街で夜が少し暗いため、ひときわ明るく光り目立ちます。
設備はハンバーグを焼くための厨房機器を追加で導入したものの、他は元々のものを利用できたため最低限の設備工事に抑えることができました。
事例③:Bistro Relation(2022年11月 竣工)
JR中央線の吉祥寺駅から徒歩15分ほどのところにある「Bistro Relation」。
ビストロでありながら、本格的なフレンチのコース料理を楽しむことができるお店です。
井の頭通り沿いのビルの1階で、すぐ裏の道は吉祥寺の散策道として知られる中道通り。おしゃれなイメージの吉祥寺にぴったりなビストロです。
最初に、工事前の写真です。
前テナントはイタリアンレストランでした。
店内はレイアウト、家具、トイレなどが残り、そのまま利用できる状態でした。壁のクロスのみ、イタリアの地図などがプリントされていたため、クロスは貼り直しが必要です。
ファサードは可動式のオーニングが利用できる状態です。看板は前テナントの木目調に店名が入るタイプのものがそのまま残っており、これは変えた方がよさそうです。
設備は基本的にすべてそのまま利用できる状態でした。
次に、工事後の写真です。
店内はグレーのビニールクロス(壁紙)を貼り替えました。
工事のメインはファサードです。店内の雰囲気に合わせたグレーの鉄板の上に立体的な白いカルプ文字でお店の名前とロゴマークを取付ました。モノトーンで落ち着いた店構えになりました。またアッパーのスポットライトでこれらを照らすことで、夜にはより立体的にお店の雰囲気を演出しています。入口のガラス扉からはお店の中が良く見え、雰囲気が良すぎて逆に入りにくいということがないようにバランスを調整しています。
設備は予定通り全て利用することができました。
このように居抜き物件で条件の良い物件を見つけることができると、工事を必要としないためその分金額を安く抑えることができます。そして店内の仕上げやファサードを変えることで前のお店から雰囲気やイメージを一新し、新しいお店を造ることができます。
特に事例②や事例③のような、お客様が開きたいお店に近い状態の居抜き物件を見つけると、仕上げでイメージは一新しつつ設備はそのまま利用できるため、工事は最小限に抑えることができます。

有限会社AIA/アイエィ